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「多目的ダム」はなぜ作られるのか
静岡県「太田川ダム」に見る、そのカラクリ
山本 寛 著
2009年 6月15日発売   四六判  256ページ 定価 \1,760(本体 \1,600)
   ISBN978-4-7775-1448-9 C0036 \1600E
≪静岡県「太田川ダム」に見る、そのカラクリ≫

 近年、全国で建設されているダムは、洪水調整、農業用水(灌漑)、工業用水、水道用水、発電など、複数の機能をもつ「多目的ダム」が多い。
 このなかでも重要なのが、人間の生活に欠かすことのできない水道用水であるが、行政が過大な水需要を策定し、無駄な多目的ダムの建設が全国各地で推進されている。

 本書で取り上げる静岡県の「太田川ダム」では、利水事業に482億円、ダム建設費まで含めると780億円がついやされた。
 この「太田川ダム」から供給される水道水の原水は、市街地の下流約2キロの地点にあるため、下水、農薬、肥料を多く含んでいる。その結果、浄水のため多量の塩素が投入され、最終的には発ガン性をもった有害物質が混ざった水道水が家庭に送られてくる恐れがある。

 太田川ダムの建設は順調に進み、運用開始に向けて最終試験に入っている。そこで、この機会に「太田川ダム」に関する、今までの調査記録をまとめておくことにした。
 行政当局が進める「多目的ダム」建設のカラクリを理解する一助になれば幸いである。
■ 主な内容 ■
 CONTENTS

 まえがき

 1章 すべては企業局の水の押売りで始まった
 東海地震想定震源域のど真中に建設される「太田川ダム」
 防災ダム転じて水道水の水源確保も目的とした「太田川ダム」
 「多目的ダム」を要望したのは、天竜川左岸の市町村のみ
 各自治体の本音
 浜松市長でも断れない、水の押売り
 《コラム》内山隆司元県会議員の逮捕は県策捜査か?
 無駄な公共事業がまかり通る理由

 2章 こんな汚い水を飲みますか?!
 湖沼水質ワーストワンの「佐鳴湖」の水のほうがまし?!
 6,000人の下水が流入する取水口
 農薬の「チオベンカルブ」が規制値の約4倍を記録
 お豚さんの糞尿まじりの水を飲みますか?!
 天下の悪水「淀川」と同じレベルの太田川の原水
 水道管の中で増える、「トリハロメタン」
 ドイツの基準値は25ppb以下
 本当に怖い、「トリハロメタン」の家庭の医学
 さらなる恐怖、「陰イオン界面活性剤」
 「トリハロメタン」生成メカニズムを知らない水道室長
 静岡県弁護士会もびっくり。「取水点」の水質

 3章 作られた遠州地方の水不足
 馬に水を飲ませることはできなくても、人間には飲ませることができる!
 それでも止まらない右肩上がりの水需要予測
 「節水家電」が推進する水消費削減
 企業局の予測を4、000立方メートル削減した浜松市
 浜松市が証明した、合併市町の水余り
 編入市町村からの融通で、浜松市の水不足は解消される
 「井戸の劣化」が太田川系受水の理由に!
 データが証明する、漸減する浜松の水需要
 地下水への依存度が高いという詭弁
 浜松市民だって静岡市民と同じように美味しい地下水が飲みたい

 4章 こんなに儲かる「水商売」(水道事業)
 かくして庶民は「水利権」を召上げられた
 売価が未定でも注文がくる“殿様商法”の美味しさ!
 こんなに儲かる「水道事業」
 遠州の愚民は自分の足をかじって喜べというのか!
 こんなに儲からない工業用水
 工業用水の転用を頑固に拒む企業局

 5章 太田川系基本料金1立方メートル33円のデタラメ
水道料金の仕組み(基本料金と使用料金)
1立方メートル133円にびっくり仰天の受水市町村
《コラム》受水量削減によるダム設計変更の費用は、誰が負担したのか
まともに計算すれば、基本料金は1立方メートル120円
水価提示にしびれを切らした浜松市の逆襲
費用の付け回しの「奇策」で、基本料金1立方メートル33円の怪挙!(誤魔化し)
太田川ダム利水がなければ、ここまで安くなった遠州の水道料金
有価証券に投資される水道事業の利益
地下水依存の企業局水道事業の水価が安いのは当たり前

 6章 渇水時に取水できない水利権で住民を騙す悪徳商法
 過大に設定された維持流量85立方メートル/秒
 維持流量85立方メートル/秒の制約で天竜川の水を飲めない遠州人の悲劇
 発電用の佐久間ダムは遠州の水瓶ではない
 維持流量を割り込んだときの工業用水の取水は違法ではないのか?
 天竜川が渇水傾向という大嘘
 佐久間ダムへの流入量が暴く、「渇水日数」「取水制限日数」増加のウソ
 太田川ダムが完成しても節水規制からは開放されない
 「太田川ダム利水」の渇水被害防止効果は1回当たり約23億円?!
 真の水危機は工業用水!

 7章 こうすれば解決できる遠州の水問題
 基本的には存在しない、遠州の水不足
 先人の遺産、馬込川掃流用水
 馬込川掃流用水の利用を促す国土交通省担当者
 馬込川掃流用水を分配すれば、すべては円満解決?!
 「馬込川掃流用水」が貢献した中田島砂丘の浸食?!
 “一石六鳥”――「馬込川掃流用水」の部分転用
 究極は地下水への回帰を

 8章 “天井から目薬”程度――「太田川ダム」の水害防止効果
 「太田川ダム」は、利水兼用の「穴あきダム」
 基本高水流量5、200立方メートル/秒は、ダムを建設するための方便
 “天井から目薬”程度の効果しか期待できない、「太田川ダム」の水害防止
 堆砂によって短年月で機能を失う「太田川ダム」
 《コラム》静岡県庁御用達「静岡新聞」が許す静岡県の無駄な公共事業

 9章 「太田川ダム誘発 東海地震」で、ダム倒壊の危険性
 「地震の巣」(火)に油を注ぐ、太田川ダム
 「ダム誘発地震」は、地震学の常識
 ダム誘発地震が恐くてダム建設を断念した、アメリカ陸軍工兵隊
 脆弱な「太田川ダム建設サイト」の地盤
 「提体」と「大地」の継ぎ目が、「さようなら」の危険性
 古い耐震基準で設計された「太田川ダム」の恐怖
 「太田川ダム」は「東海地震」に耐えられるか?
 ひび割れが始まった「太田川ダム」
 《コラム》「太田川ダム誘発 東海地震」は「神風」か?!

 10章 メンバーの思い
 太田川ダムによる水への想い――行政と議会の立場の違いから
 太田川ダム計画に見る、「政治の貧困」
 「治水ダム」が「災害ダム」にならなければいいが
 「治水ダム」が「災害ダム」にならなければいいが
 太田川の流れに寄せて


 あとがき
 索引


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